向日葵の咲かない夏

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

道尾 秀介 / 新潮社

スコア:



京極夏彦が始めたとされる,「ひとつの事実に対して登場人物のそれぞれが持つ認識は異なるかもしれない」という前提の上で展開されるカテゴリー。適切な言葉はあるのかな...?

最初,「三歳児がこんなに喋るわけ無いじゃん。設定がおかしすぎるんじゃないの」と思って鼻白んでいましたが,しかしその錯誤も読み進めていくと意味を持ちますはじめます。中盤までは相当に人物の設定と行動が乖離していて読みづらいんですが,捨てずに最後まで読むとすっきりします。

しかし,ここまで特殊な認識を持つ人物を語り手に選ぶと,正直ついていけません。僕のような生半可な読者には,感情移入なんてとうていできない世界ですから。

倒錯した世界が好きな人はどうぞ,でしょうか。僕は楽しめませんでした。

by melekai | 2009-05-07 18:11 | ライフログ

リピート

リピート (文春文庫)

乾 くるみ / 文藝春秋

スコア:



「リプレイ」(タイムトラベルものの定番)と「そして誰もいなくなった」を合わせたような作品,との触れ込みです。

うーん...。正直微妙。しかし,「やり直すたびにより悪い現実が待っている」というのは,タイムトラベルもののテーゼなんでしょうかねぇ。それは「時かけ」でもう充分。

というか,本書のカラクリ,途中でわかっちゃった。以上。

by melekai | 2009-05-07 18:03 | ライフログ

イニシエーション・ラブ

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

乾 くるみ / 文藝春秋



なんだか恋愛小説のような題名ですが,ミステリです。
しかも帯に「かならず読み返したくなる」との文字が。

実際はですねぇ...。味があってもう一度読み返したくなるのではなく,「え? あの場面の会話ってなんだったっけ?」などと,読者が作者のかけた罠を再確認したいがために必ずページをもう一度めくるはめになる仕掛けなんですね。

仕掛けは見事だと思います。正直やられた,と思いましたが...。

以下はネタバレになりますが,

by melekai | 2009-05-07 17:57 | ライフログ

扉は閉ざされたまま

扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)

石持 浅海 / 祥伝社



「月の扉」という文庫本の表紙がものすごく奇麗で,ずっと気になっていた作家。石持浅海。で,なぜか月の扉を買わずにこの本から読み始めてます。

倒叙ミステリですね。犯人が最初に明かされていて,探偵役がどのように謎を暴いていくかを楽しむタイプのミステリです。刑事コロンボで有名な手法ですね。(いまどきは刑事コロンボよりも古畑任三郎のほうが通りがいいのか?)。

ミステリは好きですが,実は密室ものと時刻表ものは苦手だったりします。これは密室もの。密室もので記憶に残っているのは綾辻行人の十角館の殺人くらいですが,これは記憶に残るかどうか...。

探偵役は魅力的に思えます。この人物が登場する他の作品があるらしいので,そちらも読んでみたいと思います。

by melekai | 2009-05-07 17:54 | ライフログ

独白するユニバーサル横メルカトル

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

平山 夢明 / 光文社



「このミステリーがすごい!」2007年度版で堂々第一位。いまならどんな本屋にも置いてあります。

正直,このミスの国内ランキング上位を受賞したミステリとの相性があんまりよくありません。しかし本書は面白かった。ただ,グロいです。グロが苦手な人は,嫌な読後感が残るかもしれませんね。文書は力があって,軽さを感じなくて,良いと思います。筆力のある作者だと思いました。

短編集なので,移動時間などに面白いものを手早く読みたいという向きには,お薦めですね。もちろん,ひっそりと静まった夜中に一人で読みふけると,それはまた格別の味わいがあります...。

by melekai | 2009-05-07 17:45 | ライフログ

ただいま考え中

♪ただいま考え中。ただいま考え中。

という歌が、NHK の『おかあさんといっしょ』の中でたまに流れる。
これがまた絶妙なメロディに乗って「ただいま考え中」のフレーズが繰り返されるので、いつのまにか頭の中に刷り込まれてしまう。
いきおい仕事が行き詰ってしまうと、気が付くと口ずさんでいたりする。
周りから見ると完全に壊れた人ですね。

さて。

最近、もっともよく見ている番組といえば、ワールドビジネスサテライトでも報道ステーションでもなく、なんといっても『おかあさんといっしょ』。母親たちのあいだでは「おにいさんとおねえさんは実はできている」という噂が根強いらしく、『おにいさんとおねえさんは夜も一緒』と揶揄されているそうな。

『おかあさんといっしょ』の現在のおねえさんは宝塚歌劇団出身だそうで、歌・ダンス・容姿、いずれも完璧。
と思ったらさにあらず。どうも絵を描く才能には恵まれなかったらしく、おねえさんの名前でググると、番組中に描いたという驚くべき絵がたくさん出てくる。

なかでも秀逸なのは、ドラえもん

うーん。うーん。夢に出てきそう。

♪ただいま考え中。ただいま考え中...

by melekai | 2006-05-31 08:56 | 命の洗濯系

天使と悪魔


知人からダン・ブラウンの『天使と悪魔』を借りて読了。

最近トム・ハンクス主演で映画化された『ダ・ヴィンチ・コード』の前作にあたる。テンプル騎士団と聖杯という馴染みのある素材を扱っているぶん、やはり『ダ・ヴィンチ・コード』のほうが話にのめり込みやすい。素材だけ見れば『インディジョーンズ 最後の聖戦』と同じだし。

『天使と悪魔』は科学と宗教の対立を、過去に存在した秘密結社の謎を巧みに織り交ぜながら面白く描いている。昔から Web を仕事として扱う人間なら一度はお世話になったであろう CERN が出てくるのも、この業界の人間には興味深いかもしれない。え? CERN の HTTP サーバーなんて知らない? 若いねぇ...

読み終わっての感想は、とっても面白かった、に尽きる。まぁ、キリスト教会の過去なんぞに興味の無い向きには、ちょっと取っ付きにくいかもしれないけれど。

ちょっと気になったのは...

ミステリとして『天使と悪魔』/『ダ・ヴィンチ・コード』の二つを比べてみると、これがそっくり。ヒロインの父親が殺されること、ラングドン教授の事件への巻き込まれかた、黒幕がどのようにラングドン教授の『捜査』に関わってくるのか、暗殺者の宗教的背景、などなどなど。

キリスト教会の過去の所業と象徴に関するうんちくの豊富さは『ダ・ヴィンチ・コード』も『天使と悪魔』もそれはもう素敵なほどにちりばめられていて、歴史好きには堪らく面白いのは確かだが、純粋なミステリとしてはこの2冊で手詰まり感が否めない。

さて、ラングドン教授シリーズの第3作を著作中だとのことだが、マンネリ感を払拭できるか。

shika さん、ありがとうございました。

by melekai | 2006-05-18 07:33 | ライフログ