音楽の価値を弁当代で計るの愚。

iTunes に i (ai) ~ Best of Off Course Digital Editionがあがっていた。2,400 円。「愛をとめないで」だけがポツンと販売開始されてから半年。ついに,ついに。





よくここに Beth Nielsen Chapman のことを書くから,「どんな音楽を聴くんですか」とたまに聴かれる。自分の半生(というほどには歳を取ってはいないが)を振り返ると,自分の音楽的嗜好の無軌道ぶりには我ながらあきれる。

小学生の高学年から中学生にかけては,無心にオフコースを聴いていた。Yes-Yes-Yes というアルバムが世に出た頃だと思う。なんのことはない。五年生の頃に仄かに恋心を寄せていたミホちゃんがこのアルバムをよく聴いていたからだった。僕の小学校高学年から中学校にかけては,いわゆる 83年組がデビューした直後だったので,級友たちはもっぱら中森明菜がどうしたとか,小泉今日子が可愛いだとか,松本伊代の声にしびれるとか言っていた。あの頃の僕はアイドルの何がどーいーのか皆目分からず,もっぱらオフコースを聴いていた。クラスの悪ガキどもが女の子に万歳をさせてそれを横から眺めては喜んでいたが,何が愉しいのかそれもよくわからなかった。僕がアイドルに目覚めるのはずっと後になって,菊池桃子を見たときである。

中学校の高学年から高校生のはじめの頃にかけては某テレビアニメの影響で一瞬だけ飯島真理に傾倒した後,あとはもうもっぱら TM ネットワークである。級友たちはやれボーウィだのジギーだのロックだヘビメタだと騒いでいた。でも僕はロックやヘビメタはうるさすぎると思っていた。クラスで人気の女の子の縦笛を放課後に舐める遊びが流行っていたが,それをする勇気のなかった僕はずっと TM ネットワークのGift for Fanks を聴いていた。Gift for Fanks ほど聞き込んだアルバムは,いまだにない。

高校も高学年になる頃には,本人の音楽的嗜好がどうであれ,ベストヒット USA や MTV などといった深夜の音楽番組をチェックして,洋楽をさもわかったふりをして聴くのがかっこいいことだとされていた。世の中がそんな風だった。英語の発音は小林勝也で覚えた時代だった。それで,ご多分に漏れず Mr. Mister やら Starship やら Brian Adams やら Bruce Springsteen なんかのアルバムを買ってきては聴いた。都会の子供たちがどうだったかはしらないが,僕の周囲では Von Jovi も Prince も,それを聴くことじたいに意味があった。Von Jovi の新譜を知らないやつは,会話についていけず,寂しい思いをする羽目になった。すこしづつ大学に進学したら英語を勉強しようと思いはじめていた僕は,必死に歌詞カードの丸暗記につとめた。Brian Adams の Reckless なら,いまでも全曲歌詞カードなしで唄える。

高校時代にであった洋楽を本格的に聴き始めたのは大学になってからである。本格的に,というのは,その歌の歌詞を理解して,曲と歌詞で何を唄っているのかを理解するようになった,という意味でしかないけれど。今でも,当時聴いていた Beth Nielsen Chapman の最初のアルバム, Beth Nielsen Chapman (まぎらわしいね)の曲の大半はそらんずることができる。またこの頃,女性ボーカルを聴き始めた。当時持っていた Herbeth の HL Compact というスピーカーシステムが女性ボーカルの再生には絶品で,その影響が大きいかもしれない。都会では音楽というともっぱら体にぴったりあった服を着て羽根でふわふわしたセンスを振り乱しながら大音量で聴くもののようだったけれど,それは田舎では役に立たない音楽だった。そんな場所は田舎には無かった。それで,部屋に引きこもっては Beth Nielsen Chapman とか Aeron Nevil とかを聴いていた。

就職してからはもう,女性ボーカル一本である。仕事でおとこどものやさぐれた声を聞き続けた後には,女性ボーカルが最高だった。

まぁ,そんなふうにどこにも一貫性の見えてこない音楽的嗜好ではあるけれど,とにもかくにも最初にはまったのがオフコースだった。

そのオフコースの名曲集が 2,400 円。

安い。とはいえ,ハワイイに石垣と,身の丈に合わない旅行を繰り返した天罰で我が家の家計は正直苦しい。そこで,考えた。

2,400 円とは,いったい僕の昼飯何日分なのか? 何日かお昼ご飯をがまんすれば買える代物なのか? と。

僕の職場のある赤坂見附の平均ランチ代は弊社調査によると 1,000 円である。ということは,オフコースの名曲集は昼飯3日分弱にあたる。

... ということで,今週の月/火/水はお昼ご飯はバンとカップ麺に決定。早速オフコース名曲集を購入したのでした。

やっぱりいいなぁ。「愛をとめないで」とか「Yes-No」とか「時に愛は」とか,それはもう言葉にできない,ですよ。

それではこのへんで,さよなら。

by melekai | 2006-12-12 00:23 | ヘタレの肖像